引っ越し後の「住所変更登記」が義務化!2年の期限と放置するリスクを司法書士が解説

引っ越し後の不動産住所変更登記の義務化について、新居に引っ越す夫婦とサポートする司法書士のイラスト

こんにちは。横浜市青葉区の川村屋司法書士事務所、司法書士の川村亮太です。

普段の生活の中で「不動産の登記簿」をじっくり見る機会なんて、ほとんどありませんよね。家を買ったときにチラッと見た記憶はあるけれど、中身までは覚えていない……という方が大半だと思います。

実は、その法務局にある登記簿には、その土地や建物の持ち主が誰であるかということを公に示すために、あなたの「住所」や「氏名」が法律上の大切な情報としてしっかりと記録(登記)されています。

これまでは「いつかやればいい」とされてきた不動産の住所や氏名の変更登記ですが、ルールが大きく変わり、令和8年(2026年)4月1日から法律上の「義務」になりました。

なお、義務化は、結婚や離婚で名字が変わったときの「氏名変更登記」も対象になります。ただ、日々の暮らしの中で圧倒的に多く、かつ、忘れがちなのが「引っ越しに伴う住所変更登記」です。
そこで今回は、この引っ越し後の住所変更登記にスポットを当てて、手続きの期限や放置するリスク、新しく始まった仕組みについて分かりやすくお話ししようと思います。

前回のコラム「住民票の『前住所』欄がなくなった?」とも関わるテーマですので、ぜひご自身の状況と照らし合わせながら、最後までお付き合いください。

住民票を移しただけでは、登記は変わりません

「転居届は役所に出したし、マイナンバーカードの住所も書き換えたから大丈夫。」

そう考えてしまうのは、ごく自然なことだと思います。ですが、ここに一番の盲点があります。

実は、役所が管理している「住民票のデータ」と、法務局が管理している「登記簿のデータ」は、完全に別のシステムで動いています。そのため、住民票を新しい住所に移したからといって、ご自宅の登記簿に載っている住所が自動的に書き換わることはないのです。

これまでは、登記簿の住所が古いままになっていても、普段の生活で困ることはほぼありませんでした。「いつか家を売ったり、住宅ローンを返し終わって抵当権を消したりするときに、一緒に変更すればいいや」と、何年もそのままにしていた方も多かったのが実情です。

しかし、これからは「引っ越して住所が変わったら、その都度、登記の住所を変更するために法務局に申請する」というのが、新しい大原則になりました。

なぜ今、住所や氏名の変更が義務になったのか?

なぜ、わざわざそんな面倒なルールができたのでしょうか。

これは、ニュースなどでもたびたび取り上げられている「所有者不明土地」の社会問題を解決するための国の方針です。令和6年(2024年)に始まった相続登記の義務化もその一環ですが、いくら相続のルールを厳しくしても、登記簿に載っている名義人の住所が何十年も前の古いもののままでは、結局「今、この不動産を誰が持っているのか」を追いかけることができません。

住所が古いままで、所有者と連絡がつかない不動産が、全国各地で多数にのぼっており、空き家が放置されて近隣の迷惑になったり、公共事業がストップしたりする原因の一つになっています。

こうした事態を防ぎ、大切な財産の情報を最新に保つために、相続登記に続いて住所や氏名の変更についても法律で一律に義務化されることになりました。

押さえておきたい義務化の「3つのポイント」

新しく始まったこの義務化ルールについて、まずはこれだけ押さえておけば大丈夫、というポイントを3つに整理しました。

① 期限は「引っ越してから2年以内」

引っ越しをして新住所に住み始めた日(または結婚などで氏名が変わった日)から、2年以内に変更の登記を申請しなければなりません。住民票を移した日や戸籍が変わった日が、2年のカウントダウンのスタートになります。

② 「過去の引っ越し」もすべて義務化の対象

「義務化されたのは最近だから、昔引っ越した分は関係ないよね」と思われがちなのですが、ここが一番注意していただきたいところです。

今回の義務化は、令和8年(2026年)4月1日の施行日よりも前に引っ越した分にも、さかのぼって適用されます。

「昔の引っ越しだから手続きしなくていい」という例外はありません。すでに登記簿の住所が古いままになっている方は、令和10年(2028年)3月31日までに現在の住所に変更する登記をしなければならない、という猶予期限が設定されています。2年間の猶予があるとはいえ、いざ手続きをしようとすると書類集めに時間がかかることもあるので、できるだけ早めに動かれることをおすすめします。

③ 放置すると「5万円以下の過料」の可能性

「ある日通知が届いてから対応すれば問題ない」と油断して、住所変更手続きをさらに後回しにしてしまうのはおすすめできません。引っ越しなどで住所が変わったにもかかわらず変更登記を行わないこと自体が義務違反になってしまいます。「通知が届いてから考えよう」と先延ばしにするのではなく、引っ越しが決まった段階や、住所変更の手続きが漏れていることに気づいた今の段階で、自発的に変更登記を済ませておくのが一番安心です。

もし、その後の催告通知すらも無視して放置し続けた場合には、法務局から裁判所へ通知が行き、最終的にペナルティの対象となってしまいます。

自動で登記が変わる?「スマート変更登記」とは

「引っ越すたびにいちいち自分で法務局へ手続きをしに行くのは面倒だし、忘れてしまいそう……」

そう感じるのが正直なところだと思います。そこで、手続きの負担を減らすために国が新しく導入したのが、通称「スマート変更登記(職権住所変更登記)」と呼ばれる仕組みです。

これは、法務局が住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)や商業・法人登記システムと連携して名義人の転居情報をキャッチし、法務局の担当官が「職権」で登記簿の住所を新しいものに書き換えてくれる、とても便利な仕組みです。

ただし「すべてお任せ」にはできません

この仕組みを聞くと、「なんだ、自分で何もしなくても勝手に国がやってくれるんだ」と思われてしまうかもしれませんが、そう簡単な話ではありません。実務に携わる立場からお伝えすると、以下のような「前提条件」や落とし穴があります。

  1. 事前に「検索用情報の申出」をしておく必要がある 国が勝手に住民票のデータを登記に紐づけるわけではありません。あらかじめ所有者本人が「自分の住民票と登記簿を連携させてください」という手続き(検索用情報の申出)を行っておく必要があります。
  2. 対象外となるケースもある 個人だけでなく、本店を移転した株式会社や合同会社などもこの連携システムを利用できます。しかし、「会社法人等番号を持たないサークルや町内会などの団体」や、「海外に住んでいて住基ネットに情報がない個人の方」などは、この自動変更の仕組みを利用できません。
  3. 申出は不動産ごと この「検索用情報の申出」は、不動産ごとに管理されています。例えば、今住んでいる自宅の土地建物のほかに、山林や田畑などの農地、ご実家の近くの土地などを所有されている場合、それらの不動産についてもこの申出を行っておかないと、スマート変更登記の対象になりません。

つまり、スマート変更登記は便利な制度ですが、「何もしなくても勝手に解決する魔法の仕組み」ではありません。まずはご自身の不動産の登記簿が今どうなっているのか、現状をきちんと整理することが欠かせません。

※スマート変更登記の具体的な仕組みや、その前提となる法務局への「検索用情報の申出」のやり方については、また別の機会に記事にできればと思います。

青葉区内など「同じ区内での引っ越し」は特に注意

ご自身で住所変更の手続きをするにしても、スマート変更登記の準備をするにしても、まずは住所の移り変わりを証明する書類を集める必要があります。

ここで、当事務所のある横浜市青葉区などの「同じ区内で何度か引っ越しをしている方」は、少し注意が必要です。

以前のコラム「住民票の『前住所』欄がなくなった?」でも詳しく書きましたが、横浜市では令和8年(2026年)1月に住民票の様式が変わっています。

新しい様式の住民票は、同じ区内で2回以上引っ越しをしている場合、住民票の写しを1枚取っただけでは「中間の住所」が載りません(直近の引っ越し履歴1件しか確認できない仕組みになっています)。

そのため、「登記簿に載っている古い住所」から「今の住所」までのつながりを住民票だけで証明できず、手続きが進められなくなってしまうケースがあるのです。

こうした住所のつながりを確認できないときに役に立つのが、本籍地の役所で取得できる「戸籍の附票(ふひょう)」という書類です。ここには、その戸籍に入っている間の住所の移り変わりがすべて一覧で記録されています。ただ、本籍地を何度も変えている(転籍している)方の場合は、それぞれの本籍地から附票を郵送などで取り寄せなければならず、慣れていない方にとってはかなりの手間がかかる作業です。

住所変更登記をするための「2つのルート」

実際に住所や氏名の変更登記を進めるには、どのような方法があるのでしょうか。大きく分けて次の2つのルートがあります。

① 自分で、または司法書士に依頼して申請する

ご自身で必要書類を揃えて法務局に申請するか、司法書士に頼んで代わりに申請してもらう、という一般的な方法です。この場合、登録免許税として不動産1個につき1,000円(土地と建物は別々にカウントするため、一戸建てなら2,000円が基本です)を納める必要があります。

② 「スマート変更登記」による自動変更を待つ

事前に法務局に「検索用情報の申出」をしておき、法務局が職権で住所を書き換えてくれるのを待つ方法です。この法務局の職権による書き換えの場合は、登録免許税(1,000円)が非課税(無料)になります。

「無料になるなら職権による変更登記を待ちたい」と思われるかもしれませんが、場合によっては不向きです。

そもそもリアルタイムで住民票の異動情報が法務局に共有されるわけではありません。
法務局側が、2年に1回以上のペースで住基ネットのチェックを行い、そこで住所の異動が確認できた人が対象となります。
つまり、不動産の売却やローンのための担保設定のような場面では、住所変更の登記も行う必要があるので、事実上職権による変更登記を待つという選択肢がないということになります。

また、ご自身で申請や書類集めを進める場合には、以下のようなハードルもあります。

  • 平日の日中に、何度も区役所の窓口や法務局に行く時間が取れない
  • 過去に何度も引っ越しをしていて、どの書類を集めれば住所がすべてつながるのか分からない
  • 本籍地が遠方にあり、戸籍の附票を取り寄せるやり方がよく分からない

「手続き自体はシンプルに見えたのに、役所の書類を集めているうちに何が何だか分からなくなってしまった」というご相談は、実務の中でも日常茶飯事です。

司法書士にご依頼いただければ、面倒な過去の住民票や戸籍の附票の取り寄せから、法務局への登記申請までワンストップでお任せいただけます。

まとめ:まずは登記簿の住所を確認してみましょう

令和8年4月から新しく始まった、住所・氏名変更登記の義務化。過去に引っ越した分についても「猶予はあと2年」という期限が迫っています。

まずは、ご自宅の権利証(登記済証や登記識別情報通知書)などで、登録されている所有者の住所が古いままになっていないか、一度確認してみてください。もし、お手元の書類だけでは判断がつかない場合は、法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取って調べることもできます。

「自分の場合はどうなるんだろう?」「何から手をつければいい?」と少しでも迷われたら、一人で悩まずにお気軽にご相談ください。

当事務所は、地元の皆様が「お茶を飲むような感覚で、気軽にお立ち寄りいただける地域の相談窓口」でありたいと思っています。最初のご相談は無料で承っておりますので、まずは雑談を交えながら、今の状況を一緒に整理していきましょう。


住所変更登記や、新しく始まった義務化について、ご不明な点やご自身のケースでのご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

初回相談は無料で対応しております。司法書士には守秘義務がありますので、安心してご相談ください。

川村屋司法書士事務所 横浜市青葉区すすき野|相続・遺言・不動産登記のご相談

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