住民票の「前住所」欄がなくなった?|横浜市の様式変更と不動産登記の話

登記簿上の住所から変更があるかどうかを確認する夫婦

こんにちは。横浜市青葉区の川村屋司法書士事務所、司法書士の川村亮太です。

最近、区役所やコンビニで住民票を取った方の中に、「あれ、前と様式が違う」と感じた方はいらっしゃいませんか。

実は、横浜市では令和8年(2026年)1月5日から住民票の様式が変わっています。国が進める住民記録システムの標準化に合わせたもので、全国の自治体で順次切り替わっている流れの一つです。

「様式が変わっただけなら、別に関係ないかな」と思われるかもしれません。ただ、不動産をお持ちの方にとっては、少し気にしておいたほうがいい変更点がありますので、今回はその話をしたいと思います。

何が変わったのか

変更点はいくつかあるのですが、不動産の登記との関係で気になるのは、これまであった「前住所」欄がなくなったことです。

代わりに「転入前住所」という欄ができました。名前が変わっただけのようにも見えますが、載る内容が少し違います。

「転入前住所」に記載されるのは、横浜市に転入する前の住所(市外の住所)か、市内の別の区から引っ越してきた場合はその区の住所です。ここまではいいのですが、同じ区の中での転居の場合、この欄の記載は変わりません。

たとえば青葉区内で2回引っ越しをしたとしても、転入前住所には最初に青葉区に来たときの住所がそのまま残ります。中間の住所は、新しくできた「異動前住所」という欄に、直前の1件だけ載る仕組みです。

もう一つ知っておきたいのが、様式の種類です。新しい住民票は「世帯連記式」と「個人票」の2種類があり、窓口で何も言わなければ世帯連記式で出てきます。世帯連記式には変更履歴が載りません。コンビニ交付も同じく世帯連記式のみです。

住民票の「前住所」と不動産登記の関係

「住民票の書式なんて、不動産に関係あるの?」と感じる方がほとんどだと思います。少し回り道になりますが、仕組みを簡単に説明します。

不動産の登記簿には、所有者の住所と氏名が記録されています。ただ、引っ越しをしても登記簿に登録したの住所が勝手に変わるわけではありません。原則として、自分で変更の手続き(住所変更登記)をしない限り、買ったときの住所がそのまま残り続けます。
※一定の条件のもと、法務局側で住所や氏名の変更登記を行うという手続きが新設されました。機会があれば記事で触れたいと思います。

実際のところ、引っ越しのたびに登記簿の住所変更をしている方はあまり多くありません。運転免許証の住所変更はしても、不動産の登記まで気が回らないのは自然なことだと思います。結果として、登記簿の住所が何年も前のまま、という方は少なくありません。

ここで問題になるのが、不動産を売ったり、相続の手続きをしたりするときです。登記簿上の住所と現在の住所が食い違っていると、「この人は本当に登記簿上の所有者と同じ人なのか?」という確認が必要になります。

その確認に使われるのが住民票です。住民票に前の住所が載っていれば、住所が移った流れが分かるので、同じ人だと確認できます。逆に言えば、前住所の情報がうまく読み取れないと、この確認がスムーズにいかないことがある、ということです。

こんな場合は要注意

① 同じ区の中で複数回引っ越しをしている

たとえば、青葉区で不動産を購入した後、同じ青葉区内で2回転居したようなケースです。横浜市の案内によると、区内で複数回転居した場合、「異動前住所」欄には直前の住所のみが記載されます(参照:横浜市「住民票の写し」等の様式変更について)。中間の住所が抜けてしまうので、登記簿上の住所とのつながりを住民票だけで証明できないことがあります。

② コンビニで取った住民票を使おうとしている

コンビニ交付は世帯連記式のみであるため、変更履歴は載りません。登記に使うには、区役所の窓口で「個人票」を請求し、「変更履歴の記載あり」と伝える必要がある場合があります。

③ 相続で亡くなった方の住所を確認する

亡くなった方の登記簿上の住所と最後の住所が違うケースでは、住所のつながりを証明する書類が求められます。新しい様式のもとでは、従来どおりの住民票だけでは足りないこともあり得ます。

住所がつながらないときは「戸籍の附票」も

住民票だけでは住所の変遷が証明しきれない場合に使えるのが、「戸籍の附票(ふひょう)」です。

戸籍の附票は本籍地の市区町村が保管している書類で、その戸籍に在籍している間の住所の移り変わりが一覧になっています。平たく言うと、引っ越し記録がまとめて載っている書類です。

住民票は基本的に「今の住所」と「一つ前の住所」くらいしか載りませんが、戸籍の附票なら過去の住所をまとめて確認できることが多いので、住所変更登記や相続登記ではよく使われています。取得先は本籍地の市区町村の窓口で、手数料は1通300円程度です(自治体によって異なります)。本籍地が遠方の場合は郵送で請求することもできます。

ただし、本籍を移している(転籍している)場合や、戸籍が改製されている場合には、附票にも全部の履歴が載っていないことがあります。万能というわけではない点は、頭に入れておいてください。

書類のご案内も、少し細かくなっています

私たち司法書士も、登記の前にお客様へ「住民票を取っておいてください」とお願いすることが多いのですが、新しい様式では取り方によって載る内容が変わるため、ご案内が以前より細かくなっています。

「せっかく区役所で取ってきたのに、登記には使えなかった」ということが起きないよう、登記に使う住民票は取得前にご相談いただけると助かります。委任状をいただければ、当事務所で代理取得することもできますので、遠慮なくお申し付けください。

早めの住所変更登記をおすすめします

登記簿上の住所が現在の住所と違っている方は、早めに住所変更登記を済ませておくことをおすすめします。引っ越しの回数が少ないうちなら、必要書類もシンプルですし、手続きも短期間で終わります。年月が経って引っ越しを重ねるほど、書類集めの手間も費用もかさんでいきます。

また、令和8年(2026年)4月1日からは、住所や氏名の変更登記が義務化されました。住所等の変更があった日から2年以内に正当な理由なく変更登記をしなかった場合、5万円以下の過料の対象になる可能性があります。施行日より前の引っ越しについても、施行日から2年間が期限となりますので、心当たりのある方は早めにご対応ください。

「うちの登記簿、今どうなっているんだろう?」と気になった方は、お手元の権利証(登記済証や登記識別情報)で住所を確認してみてください。分からなければ、法務局で登記事項証明書を取ることもできます。当事務所でも確認のお手伝いができますので、お気軽にどうぞ。


住民票の様式変更や住所変更登記について、ご不明な点やご自身のケースについてのご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

初回相談は無料で対応しております。司法書士には守秘義務がありますので、安心してご相談ください。

川村屋司法書士事務所 横浜市青葉区すすき野|相続・遺言・不動産登記のご相談

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